第9章 好きなタイプ。
周りから注目を浴びつつ
職員室前に着くまで
しっかりと握られた手。
握り返すのは恐れ多くて出来ひん。
それにさっきからドキドキが凄くて。
もしかしたら、聞こえてるんやないかな…?って
心配になるくらい心臓がうるさい。
渋「…………ほんなら待っとくから」
「え…?」
職員室のドアの前で
こちらを見て確認される。
あ、そっか。
香絵ちゃんは職員室着いてったってしか言うてへんし
そもそも私なんか頼んですらない。
すっかり中まで着いて来て貰える気で居たや。
危ない、危ない。
「あ…良いです良いです。教室へ戻ってて下さい。着いて来て貰っといてなんなんですが…」
渋「えぇん?」
「はい。すみません、遠いのに」
何も知らない渋谷くんに
中まで着いて来て、なんて頼める訳無い。