第21章 【なみだあめ】越前リョーマ
本当、きれいだなぁ・・・小宮山先輩・・・
先輩は相変わらずいつも穏やかに微笑んでいて、でもテキパキとマネージャー業をこなしていて、パタパタと走る度にそのポニーテールがピョコピョコ跳ねて、きれいなんだけどどこか可愛らしくて・・・
「美形揃いのテニス部員に囲まれていても、ちっとも見劣りしないなぁ・・・」
そう手塚先輩や不二先輩の隣で、笑顔の小宮山先輩を眺めながらポツリと呟いた。
「なになに?桜乃、誰見てんの?手塚先輩?不二先輩?」
「ち、違うよ、朋ちゃん、小宮山先輩だよ!」
「あー、あの先輩、素敵だよねー!憧れちゃう!」
私達にも気さくに話しかけてくれるしね♪そう朋ちゃんは声を弾ませて、そんな私達に気が付いた小宮山先輩は、コート内からにこやかに手を振ってくれた。
「あ、越前くん、ちょっと足首みせて、今、捻ったでしょ!」
不二先輩たちと楽しそうに話をしていた小宮山先輩が、コートで桃城先輩と打ち合っていたリョーマくんに駆け寄って、それから手首を掴んでベンチに座らせる。
「別にいいっす、こんくらい・・・」
「だめ、越前くんはうちの大切なスーパールーキーなんだから。」
怪我されちゃ困るの!そう言って小宮山先輩はリョーマくんの足元にしゃがみ込み、その足首をさすりながらアイシングを始める。
そんな小宮山先輩にリョーマくんは、青学のためっすか?そうムッとした顔をした。
「そんなはずないでしょ!」
珍しく声を荒げた小宮山先輩にコート内がシンと静まり返る。
あまり心配させないで・・・?、そう少し声のトーンを落とした小宮山先輩の前髪に、リョーマくんがそっと触れて、ゴメン、先輩、そう呟いた。