第19章 【サボテンの花言葉】不二周助
「さっきの記者会見、いったいなんなのよ!?」
そう詰め寄る私に、あれ?気に入らなかった?なんて周助は平然とした顔で言うから、当たり前でしょ!そう声を荒げて一括する。
「なんで私がサボテンなのよ!」
思い出すのは記者会見でのある質問。
『婚約者の方は有名人で例えると誰に似ていますか?』のお約束の質問に、そうだなぁ・・・ってちょっと考えた周助は、サボテンかな?なんて答えた。
途端に記者の方々から笑いが起こり、さすが不二くんね、よく璃音のことわかってるわ、なんて家族も頷きながら納得して笑った。
私のその怒りのポイントが可笑しかったのか、そこかぁ・・・そう言って周助はクスクス笑う。
もちろん、他にも色々突っ込みたいところ満載だったけどね!そう鼻息を荒くする。
例えば、勝手に彼女がいること暴露したところとか、勝手に婚約者になってるところとか!
でもそれはたいした問題ではない。
言葉にしなくても、私達の間では当たり前にそうなるものって空気があったから。
だけどサボテンだけは違う。
「あれじゃ、私がトゲトゲしてるみたいじゃない!」
そうムキになって頬を膨らませる私に、そんなつもりないのに、なんて周助がクスクス笑うから、周助にそのつもりがなくても、周りはそうとるの!なんてますます頬を膨らませた。
「僕は小さくて可愛くて、とても愛おしい存在ってつもりだったんだけど・・・?」
そう言って私の髪を撫でながら優しく微笑む周助に、カーッと赤くなる頬を自覚しながら、そんな恥ずかしい台詞、サラッと言わないでよね、なんて言ってまた頬を膨らませる。
「それによく言うでしょ、きれいな花には棘があるって。」
「それ薔薇だし、しかもほめ言葉じゃないし。」
「サボテンの花も綺麗だよ?」
「なかなか咲かないし、すぐしぼむけどね。」
そんなんで誤魔化されないんだから!そう言ってフンっと横を向いた私に、困ったな・・・そう周助は苦笑いをした。