第19章 【サボテンの花言葉】不二周助
ピンポーン
記者会見が終わると同時になったインターフォン。
まさか周助!?
・・・いや、そんなはずないか、生中継って言ってたし・・・なんて思いながら確認したモニターには笑顔でブイサインの菊丸くんが映っていた。
「お迎えにあがりましたー、不二の花嫁さーん♪」
花嫁さんって・・・そう苦笑いして、それからお迎えって?って首を傾げると、あれ?不二からなんも聞いてない・・・?そう菊丸くんも戸惑うから、2人で顔を見合わせてまた苦笑いをする。
もしかして記者会見の内容も・・・?なんて聞いてくる菊丸くんに、うん、なにがなにやらさっぱり・・・そう言って首を横に振ると、さすが不二、打ち合わせなしかよー、なんて菊丸くんは呆れ気味に笑った。
「それにしてもオレのマンションにあの市川美沙ちゃんが住んでるとはねー。」
「菊丸くんも知らなかったんだ?」
「ぜーんぜん!あれ以来、マンション前に報道陣が押し掛けてて嫌な感じだよー。」
ゴメンネ?なんて苦笑いをしながら菊丸くんの車に乗って、連れて行かれた先は周助の滞在しているというホテル。
一般客を装ってホテルに潜り込むと、支配人さんに周助の部屋まで案内される。
そこは最上階のロイヤルスイートで、さすが今話題のプロテニス選手、なんて菊丸くんと苦笑いした。
「やあ、英二、ご苦労様。」
「ほーんと、ご苦労だったよー。お詫びに今度美沙ちゃん紹介し・・・やっぱいいや。」
すぐさま黒いオーラを出した周助の笑顔に首をすくめながら菊丸くんが帰って行くと、どうぞと招き入れられてその部屋に入る。
その豪華さにポカーンと口を開けて部屋を見回すと、そんな私にクスクス笑う周助の笑い声で我に返って、ちょっと周助!そう彼に詰め寄った。