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【テニプリ】作品集/乙女気分

第19章 【サボテンの花言葉】不二周助




「大抵の男ならキミの誘いに簡単にのるかもしれないけどね、悪いけど、僕をその気にさせることが出来るのは、世界中探してもたった一人だけなんだ。」


愛しい璃音の顔を思い出す。
それからその香りと肌の温もりも・・・


彼女と比べたら、キミなんか足元にも及ばないよ、そう言ってもう一度クスクス笑うと、出て行ってくれないか、そう目を開きながら一層低い声で彼女を蔑んだ。


「な、なによ・・・!ちょっといい男だから遊んであげようかと思ったら、調子に乗ってんじゃないわよ!」


そう真っ赤な顔をして部屋を飛び出して行く彼女の様子を、まるで覚えてろ!と捨て台詞を吐いて逃げていくチンピラみたいだな、なんて呆れながら眺めると、フーッとため息をついてソファに腰を下ろす。


それから携帯を取り出すと、思い描いた人物へと電話をかける。


「もしもし、僕だけど・・・相変わらず派手にやってるみたいだね。」
『なんだ、不二、久しぶりに電話をかけてきて、ずいぶんご挨拶じゃねーか、あーん?』


だいたい、世間を騒がせているのはテメェの方だろうが?そう不機嫌そうな声を上げる跡部に、ゴメンゴメン、そうクスクス笑って謝ると、実は頼みたいことがあるんだ、そう言って本題に入る。


『はっ、ずいぶん程度の低いホテルだな、いいだろう、跡部グループの最高級ホテルのロイヤルスイートを用意してやる。今から迎えに行くから待っていろ。』
「別にロイヤルスイートじゃなくていいよ?」
『なーに、フロア貸し切るより手っ取り早いだろうが?』


・・・本当に相変わらずだな、そう苦笑いで通話を終えると、そのままマネージャーに電話をかけて事の次第を説明し、荷物をまとめて迎えを待つ。


準備を終えると跡部が迎えにくるまでの間、先日の裕太との会話を思い出す。
璃音・・・そう彼女の名前をそっと呟いた。


オレ様直々に迎えに来てやったぜ、そう部屋を訪れて偉そうに笑う跡部に、実はもう一つ頼みたいことがあるんだ、そう言って僕も笑った。

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