第13章 【立海列伝~王者を支えるマネージャー~】切原赤也
「あいつら本当、容赦ないんだから・・・」
そう言って、小宮山先輩は俺の隣に座った。
肩が触れ合う距離に思わずたじろぐ。
「でも、切原くんのこと買ってるんだと思うよ?口だけのただ生意気なやつなら、相手にすらしないもの。」
「・・・赤毛の先輩と外人の先輩にも言われたッス・・・」
「ブンちゃんとジャッカルね、あいつらは面倒見がいいから・・・」
きっと新しい弟が出来た気持ちなんだと思うよ?そう言って彼女が笑う。
「・・・あんたは・・・なんで俺なんかに・・・」
「私?私もブンちゃん達派かな、なんかほっとけなくて。それにあの3人にはいつもいつもムカついてるの!」
話しの後半に声のトーンが変わった彼女に、なんすか、それ?と問いかける。
「柳はいちいち細かくて姑かって感じだし、真田はすぐに怒鳴るし、幸村は笑顔で圧力かけてくるし!」
「あー、そんな感じっすね!」
「そうなのよ!もう本当、嫌になる!!」
だから切原くん、頑張ってあいつらぶっ倒してね!そうさっきまでの落ち着いた雰囲気とは違う先輩の一面がおかしくて、俺は了解っす!と笑顔で答えた。
頑張ってね、そう俺に手を振り、小宮山先輩は夕焼けの中に消えていった。
俺はその方向をしばらく眺めたあと、へへと人差し指で鼻をこすると練習を再開した。
あいつらを倒してナンバー1になるため、そして彼女の応援に応えるため俺は毎日必死に努力した。
そしてボールの威力もスピードも着実にレベルアップしていた。
これならいける!今度こそ!!
そう思って再戦を申し込んだけど駄目だった。
赤目になった時ですら結局歯が立たなくて、今のままじゃやっぱりこいつらにはかなわねぇって思い知らされた。
テニス部に入れ、そして何度も挑戦して来い、そう先輩が俺に言い、一緒に頑張ろう?そう彼女がタオルを差し出してくれた。
そして俺はテニス部に入ることを決めた。
いつか3人を倒してナンバー1になるため、そして彼女の近くにいるために。
「俺、テニス部に入るッス。けど負けたからってわけじゃないっすよ?いつかあんたら倒してナンバー1になるためっすから」
「そうか、よし、それならまず基礎練だ、今からグラウンド100周、行って来い!・・・ぴよっ」
い、今から?俺はヘロヘロになりながらグラウンドを走りだした。