第28章 【ミルクティー色に輝いて】白石蔵ノ介
「ええやん、他に誰もおらへんよ?」
「そういう問題とちゃうやろ・・・」
「減るもんじゃあらへんし!」
「せやかてなぁ・・・」
食い下がる私に、白石くんは視線を泳がせて、それから少し考えると、ほな、ええで、そう少し口元を緩ませながら頷いてくれる。
「ほんま?、やった!、ほな、遠慮なく・・・」
いそいそと白石くんに近づくと、彼が座る椅子の正面に立ち、迷わず腕を伸ばして彼の髪の毛に触れる。
予想通り、サラサラで、キラキラしてて・・・
気持ちええなぁ・・・、思わず、ほうっとため息が溢れた。
「もう、ええか?」
「あ、うん!、ありがと、もうええよ。」
少しの間、夢中で彼の髪を撫で回していたけれど、白石くんのその言葉に慌ててぱっと手を離す。
いや、なんというか、本当に大胆なことをしてしまった。
白石くんのファンの子たちに見られていたら、ただじゃすまないだな、なんて苦笑いをしてしまう。
それから、ほな、またね?、そう今度こそ帰ろうとしたところで、グイッと腕を掴まれて、へ?って驚いて振り返った。
「ちょいまちや、次は俺の番やで?」
その白石くんの意味がわからず、今度は私が目をパチパチとさせてしまう。
次は白石くんの番って・・・?、そう戸惑う私の前に立ち上がる白石くん・・・
そのまま、彼の手が私の髪に添えられ、それから一摘みすくい上げる・・・
ドキン___
その瞬間、思いっきり心臓が跳ねた。
だって、白石くんがすくい上げた私の髪を、その鼻先に押し当てて、クンクンと鼻を鳴らしているんだから・・・