第24章 【キミの名は】不二周助
二人の周りの時間がゆっくりと流れる中、小宮山さんの驚いた顔が、徐々に赤く染まっていく。
「あ、あの、私、その・・・バイト先でよく・・・あ、コンビニの!」
「・・・うん、いつも会計してもらってる。小宮山さん、だよね___?」
「は、はい!、小宮山です!」
ああ、本物の、小宮山さんだ・・・
お店とはだいぶ雰囲気が違うけど、それは学校の制服だからかな・・・?
慌ててぺこりと頭を下げた彼女は、もう一度、僕と目が合うと、ますます頬を赤らめて俯いてしまうから、ああ、こんな一面もあるんだ、なんて微笑ましく眺める。
「それで、どうして小宮山さんがここに?」
「あ、あの、これ・・・」
差し出された僕の生徒手帳。
普段、忍ばせているポケットに手を入れると、確かにそれはなくなっていて、いつの間に落としたんだろう?、そう戸惑いながらそれを受け取る。
「お店の入り口に落ちていたんです・・・それで・・・」
店の入り口・・・?
ああ、あの時・・・
英二が後ろから飛びついてきた時の衝撃で落としたのか・・・
英二の突然の抱きつき攻撃に、まさか感謝する日がくるなんて・・・
可笑しくて思わずクスッと笑ってしまう。
「わざわざ届けてくれてありがとう、でも、次にコンビニに行った時で良かったのに。」
「はい、あの・・・でも、その・・・良かったら、これ!」
真っ赤な顔で差し出されたのは、僕がいつもコンビニで購入するドリンククーポン券。
これって・・・?