第24章 【キミの名は】不二周助
「勝手に見てごめんなさい!、誕生日、29日って生徒手帳に・・・だから、きっと今日お祝いするんだと思って、でも、私、何をあげたらいいかわからなくて・・・
あ、別にお店のクーポン券だからって、店長の回し者ってわけじゃないんですけど!、いつもご利用いただく感謝の気持ちっていうか、また来て欲しくて・・・あ、違っ!違うんです!、その、あの・・・」
あー、もう、私、なに言ってるんだろ、そう、膝を抱えてその場にうずくまってしまった彼女が可愛くて、もっと沢山の普段の彼女を知りたくなる・・・
「英二、いるんだろ?」
チラリと後ろを振り向くと、こちらを興味津々と言った様子で覗いてきた英二が、首をすくめて校門の影に隠れる。
それから、そーっと顔を出した英二に、悪いけど、今日、部活休むって伝えてくれるかな?、そうクスクス笑いながらお願いする。
「明日、グラウンドなら、いくらでも走るよ。」
「おお〜!、不二、ここで決めなきゃ、男じゃないぞ〜?」
顔を上げて不思議そうにしている小宮山さんに、そっと手を差し出す。
送るよ、そう笑顔で声をかけると、戸惑いながら彼女が手を伸ばす。
「もう覚えてくれていると思うけど、僕の名前は不二周助・・・キミの名前を教えてくれるかな?」
「あ・・・あの、璃音です、小宮山、璃音・・・」
そっと重ねられた、キミの少し冷たくて暖かい指先・・・
知りたかったキミの名前は、それに負けないくらい、とてもキレイな響きだった___