第24章 【キミの名は】不二周助
「不二くん、お誕生日おめでとう!」
「私たちからも!、良かったら使って?」
2月28日___
今日は僕の誕生日・・・
正確には29日なんだけど、4年に一度しかないから、閏年ではない今年は、今日が僕の誕生日で・・・
朝からプレゼントをくれる女の子たちに、ありがとう、そう笑顔を向けてそれを受け取る。
僕だって男だ。
誕生日に女の子たちからプレゼントをもらえば、悪い気はしない。
でも、どんどん増えていくそれらが、今年はみょうに色あせて見えて・・・
きっとそれは、あの優しい笑顔としなやかな指を知ってしまったから・・・
「不二ー、今年も4歳の誕生日、おめでとー!」
そんな、恒例の英二なりの祝福にも、ため息しか出てこなくて・・・
ほい、激辛スナック、ハバネロ味〜、そう目の前に差し出されたスナック菓子を、ニコリともせず受け取った。
「ありゃ、機嫌悪い・・・?」
「・・・そんなことないよ?」
そっと自分の手のひらを眺め、彼女の指の感触を思い出す。
触れたい・・・でも、叶わない・・・
今日は、彼女のバイトの無い日・・・
次のシフトは週末、先は長いな・・・
「なぁ、アレ、他校生だぜ?」
「今年も来たかー、必ず現れるよな。」
放課後、部活の準備をしてると、窓際でそんな声が上がる。
あー、不二、今年も来てるみたいだよん?、女の子、そう窓際に移動した英二を無視すると、ラケットバッグを肩にかける。
「英二、そんなことより部活だよ。」
チラリと英二に視線を送ると、英二は僕の言葉なんて聞いてなくて、おー、いるいる〜!、なんて窓から身を乗り出して外を確認していた。