第23章 【Specialな2人】不二裕太
裕太が私の気持ちをわかってくれた。
私が裕太の事を好きだったら良いって言ってくれた。
突然抱きつくなんて、自分でもずいぶん大胆なことをしていると思うけど、嬉しくて自分の気持ちが抑えられなくて・・・
ね、裕太、私たちやっぱり同じ気持ちだったんだね。
私の髪を優しく撫でてくれる大きな手が暖かくて、今度はうれし涙がとまらなかった____
* * *
「市川はなぁ、兄貴の彼女なんだよ・・・」
私の涙が落ち着いたころ、裕太がそう教えてくれた。
市川さんは青学テニス部のマネージャーで、裕太のお兄さん、つまりあの不二周助さんの彼女さんと言うことで、それで親しくなったそうだ。
それなのにあんな態度で睨みつけちゃって・・・
市川さん、びっくりしちゃったよね・・・
後でちゃんと謝らなきゃ・・・
「な~んだ、私、てっきり裕太は市川さんが好きなんだと思ったわー!」
「な、何、バカなこと言ってんだよっ!、俺が好きなのはっ・・・あっ!」
私が冗談で言った意地悪に思わず本気で反論した裕太は、しまった・・・そう気まずそうに口元を抑える。
その様子があんまり可愛いくて、そして物凄く愛しいものだから、やっぱりもっともっと意地悪したくなっちゃうじゃない?
「俺が好きなのは・・・誰?」
「だ、誰って、お前、言わなくても分かんだろっ!」
「えー、璃音、バカだからわかんなーい、裕太くんの好きな人は、いったい誰なのかなー?」
「お前・・・本当、いい加減にしろよなっ!」