第23章 【Specialな2人】不二裕太
「何でもないことねーだろ、突然走り出して・・・、大体、なんでオレがバカって言われないといけねーんだよ!?」
「自分の心に聞いてみればいいでしょ!、なによっ、本当に全然分からないわけ!?」
鈍感なやつだとは思っていたけれど、ここまで酷いとは・・・
本当に、私の気持ち・・・全然、気づいてないのかな・・・?
そりゃ、きちんと言葉にだして伝えたことはないけれど・・・
それでも、少しは気付いてくれたって良いじゃない・・・
そう思うと、自分の八つ当たりだっては分かっていても、また悲しくて涙があふれてくる。
「その・・・全然ってわけではねーけどよ・・・」
何も分かっていない、そう思っていた裕太の思いがけない一言に、驚いて顔を上げる。
すると裕太は真っ赤な顔で頭をかきながら、右に左に視線を泳がせていて・・・
「もしかしたらっつーか・・・だったら良いなっていう希望っつーか・・・」
え?、裕太・・・
まさか、それって・・・
「お前が・・・その、なんだ・・・俺の事・・・好きなのかな・・・って・・・」
「裕太っ!」
「うわっ!」
裕太が全部を言い終わらないうちに、勢いよくその胸に抱きついた。
突然の私の行動で、バランスを崩した彼ともども道路へ倒れこんだ。
「おい、小宮山、お前なー・・・って、小宮山!、ちょっ、なっ・・・」
「裕太!、裕太!」
私に押し倒されたことで真っ赤になる裕太に抱きつきながら、何度もその名前を呼んだ。