第23章 【Specialな2人】不二裕太
* * *
「すげー、どれもうまそ~♪」
「そぉ?、同じようなものでしょ。」
「なんだよ、なんか怒ってねーか?」
「別に?」
18日、誕生日当日____
目的地であるケーキショップのガラスケースを嬉しそうに覗き込む彼に、相変わらず素っ気ない態度をとってしまう。
「だいたいお前、さっきから全然食ってねーじゃんか。」
「・・・そんなことないよ。」
「まさかお前、太る、とか気にしてんじゃねーだろうな?」
まさかな、お前に限ってそれはねーよな、そうバカにしたように笑う裕太にムッとして、どういう意味よ?、なんて不機嫌な声を上げる。
もっと素直になろう、笑顔で誕生日をお祝いしてあげよう・・・
そして、自分の気持ちを打ち明けよう、そう決めてきたのに・・・
決めてきたからこそ・・・いつも以上に酷い態度・・・
「別に・・・深い意味はねーけどよ・・・ほら、せっかくのケーキバイキングなんだから、機嫌直していっぱい食おうぜ?」
目の前でイチゴショートを幸せそうに頬張る裕太から、バッグの奥のプレゼントへと視線を移す。
いつも彼の傍にいたい。
今のままの中途半端な関係じゃなく、恋人として彼の隣に・・・
そうだよ、今、勇気を出さなきゃ、前に進めない!
「ね・・・裕太・・・」
「んー?、なんだよ。」
「あの・・・あのね・・・私ね・・・」
裕太のことが好きなの!、そう覚悟を決めて告白しようとした瞬間、アレ?、市川?、そう目の前の裕太が立ちあがった。