第23章 【Specialな2人】不二裕太
「楽しみだわー。」
まるで何の感情も篭っていない、棒読みのように言った言葉。
いつも裕太の前ではその気がないように振舞ってしまうけど、本当はもちろん心の底から嬉しくて・・・
さっきの2人の会話が何度も頭の中でリピートしては、自然と顔がにやけてしまう。
胸の奥底からソワソワして、とてもじっとなんてしていられなくて、足をばたつかせながら枕を抱えて転げ回る。
そして・・・ふと冷静になった時・・・何かが胸の奥に引っかかる。
私にとって裕太は誰より特別な存在で、テニスをする時の真剣な眼差しも、時々見せる子どもっぽい笑顔も、からかうと真っ赤になってムキなるところも、彼のすべてが愛しくて・・・
だから・・・物凄く不安になる。
彼にとって、私はどんな存在なのだろう・・・?
他の女の子より特別なことは間違いない。
それは決して自惚れではない自信がある。
女の子とは気軽に話すタイプじゃない彼が、用事もなく話しかけるのは私だけ。
第一、なんとも思っていないヤツと、誕生日にふたりで出かけようとは思わないだろう。
でも、私の「特別」と彼の「特別」・・・
2人の「特別」は果たして同じものなのだろうか・・・?
思い切って彼に聞いてみたい。
でも、はっきりさせるのが怖い。
はっきりさせて、もし今の関係が壊れてしまったら・・・
ね、裕太・・・私のこと・・・好き?
私はね、裕太の事、大好きだよ。