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【テニプリ】作品集/乙女気分

第21章 【なみだあめ】越前リョーマ




「小宮山先輩が心配してたから・・・最近、竜崎が見学に来ないって。」


リョーマくんの口から、小宮山先輩の名前が出てズキンとまた胸が痛んだ。
本当に何もないったら、そう無理に笑ってその痛みから目をそらした。


「・・・そ、Bye!」


帰国子女だけあって、きれいな発音で歩き出した彼を、リョーマくん!、思わず手を伸ばして呼び止める。
なに?そうまた視線だけで振り返った彼に、あ、あの・・・、なんて言葉を選びながら伸ばした手を引っ込めた。


「・・・小宮山先輩のこと・・・好きなの?」


思わず口をついた言葉にリョーマくんは驚いた顔をする。
やだ、私ったら、なに聞いてるの・・・?
ハッとして、あの、違うのっ!これは、その・・・、そう冷や汗をかきながら、慌ててその場を取り繕う。


やだ、本当にもうやだよ・・・
聞いたって、余計落ち込むだけなのに・・・


「・・・好きだよ。」


静かに、でもしっかりと言い切ったリョーマくんの声に、世界が静寂に包まれた。
リョーマくんのその真剣な眼差しに身体がその動きを止めた。
動けない私に、俺、璃音が好き、そうリョーマくんは静かに繰り返した。


ポーン・・・ポーン・・・


テニスコートからボールを打ち合う音が耳に戻ってきて、そっか・・・、そう精一杯の返事を返す。


「名前、呼び捨てにしてるんだね・・・」
「2人の時はね。」


そうなんだ・・・、そう私を真っ直ぐ見つめるリョーマくんに、力ない精一杯の笑顔を向けた。





少しずつ小さくなっていくリョーマくんの背中を眺めながら、あの日の図書館でのキスの光景が蘇る。


「・・・リョーマくん!」


小さくなっていくリョーマくんの背中に大きく息をすって声をかけた。


「私もね、小宮山先輩のこと、大好きなの!」


ドキドキする胸をギュッとおさえて、振り返ったリョーマくんに声を張り上げた。


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