第1章 夏の思い出作り(赤)
「何なん?この女。さっきから気になってたんやけど」
「」
「あ、大倉が言うてた思い出作りの子?」
「そう」
「なーんや、それならそう言うてや。入って来た時、手繋いでたからめっちゃ図々しいなって思ってもうたやん」
なんて険しい顔から
安心したような表情に。
めっちゃ怖かった。
険しい顔選手権なるものがあったなら
変態と1、2位を競えるくらいに。
「ってか、店は?」
「ヤスに代わって貰ったから、好きなとこ連れてったろ思って」
「やったら祭りは?今日あるやん」
「あー、そう言えばあったな」
「ヒナくん、出店するらしいで」
「マジか。あいつ、どんだけ儲ける気や」
仲間内の話に入ってけるはずもなく
メニューを見てたら
オムライスって書いてる下に
わがままオムライスって書いてあって。
どんなオムライスやねん、と
胸の中で突っ込んでたら…
「行くか?」
「へ、どこに?」
「祭り、」
「………はいっ!」