第1章 夏の思い出作り(赤)
「あ、ありがとうございました!教えていただいて」
「えぇですよ〜、可愛い子はほっとけませんから」
なんて笑顔でサラッと"可愛い"と言ってのけた。
知らない人から言われても
やっぱり嬉しかったり。
「……………………」
そう言えば1回だけ言われたな。
水着じゃなくて私を"可愛い"って…
なんて思い出してる場合じゃないや。
早く行かな、と立ち上がった時…
「おーい、マル!」
私が歩いて来た道とは反対の方から
男の人の誰かを呼ぶ声がして。
振り向いたら、白い肌の長身な男の人が
こっちへ駆け寄って来ていた。
というか、まるって…
もしかして…?
「あっ、横山くん!」
隣に居た彼が手を振る。
よ、よこやまくん…!?
や、も、もしかしてやなくて…