第3章 お誘い。
「あ、あの…」
「ん?」
「ほんとに良いんですか?連絡しても」
「えぇで。いつでも行ったるから」
と、また歩き出した。
その後ろ姿から
遠くもなく近くもない距離を
維持して着いて行く。
一歩一歩踏み出す度に
早まって行く左胸の音。
しばらく歩けば、マンションに着き
一緒に乗ったエレベーターの中でも
部屋に着くまでの通路でも
ドキドキは止まず…
「じゃあ、おやすみ」
「お、おやすみなさい…」
大人の余裕が垣間見えた柔らかい笑みは
私の心音に拍車をかけるだけ。
頭の中はお隣さんの事でいっぱいになり
なかなか寝付けなかったのは言うまでもない。