第7章 どこまでも主役になれない。
「足りるか分かりませんけど、」
「……帰んの?」
「はい」
「なら、送るわ」
「良いです、タクシーで帰りますから」
立ち上がろうとする私の手は掴まれたまま。
振り払おうとしても
強めに握られているせいか
離す事が出来ない。
「離して下さい。帰れません」
「酔ったままタクシー乗って、今度は運転手のおっさんとキスするん?」
「運転手さんはそんな事しませんから」
「分からんやん。こんな酔うてる子と2人っきりなんて男にしたら絶好のチャンスやんか。俺やったら確実にするで」
「それは渋谷さんの話であって他の人は違います」
「男の考えてる事なんかみんな一緒や」
「だったら、されても良いです別に」
「それは俺が耐えられへんからあかん」
「………………」
そんな事言って
ドキドキする私を
影で笑うに決まってるんだ。