第7章 どこまでも主役になれない。
歌い始めも、歌ってる間も、歌い終わりも
結局、渋谷さんが向く事は無かった。
好きになって
即、失恋とか
初めてじゃないから大丈夫。
(少しばかり引きずるだろうけど…)
「こんなん無理や。すばるくん、ごめん!」
「えっ、ちょ…何がやっ!?」
錦戸さんが渋谷さんに謝ってから
私のとこへ来て隣へ座った。
行動の意図が分からず
様子を伺ってたら
体の距離を詰められる。
「…………ちゃん、すばるくんの事好きやろ?」
「っ…」
ドキッとなったのは
言い当てられたせいじゃない。
錦戸さんの顔が近いから(だと思いたい)。