第7章 どこまでも主役になれない。
チラッと横目で見たら
小声で大倉さんと真剣な顔で
何かを喋ってる。
何の話してるんだろ、ほんと。
気になって仕方ない。
同じ空間に居るのに寂しいな…
「ちゃん、何飲む?」
「え、あ、ジンジャーエールでお願いします」
お酒はさっきのお店で呑んだし
タクシーで帰るから
もう止めておこう。
こうなるなら
家で大人しく
発泡酒呑んでたら良かった…
なんて後悔しても
時間が戻るわけじゃないか。
「みんなは何がえぇ?」
錦戸さんが皆さんの飲み物聞いてる中
ジンジャーエール、と言う
渋谷さんの声だけを聞き取った耳。