第7章 どこまでも主役になれない。
「お帰りー、ちゃん」
トイレから戻って来てびっくり。
私の隣の席で
ひらひらと
手を振ってる安田さんに。
さっき見た
睨んでる顔は何だったのか、と
聞きたいくらいの笑顔。
「あ、せ、席変わったんですか…?」
「せやねん。渋やん、マルと居る方が楽しいって言うから」
「………………」
安田さんの言葉に胸が痛くなる。
私と居ても楽しくないって事よね…?
だったら、今日1日のやりとりは何だったんだろう…
と、一気に気持ちが沈んで行き
目線もテーブルの上にあるお絞りから
膝上に置いた自分の両手へと移って行った。