第7章 どこまでも主役になれない。
「でも…渋谷さんに…少しでも可愛く思われたかったから…」
「何もせんでも、充分可愛いって」
「っ、」
「それに……俺の為なんやったら帰すなんて出来へんわ」
と、私の手を取り
何も言わず歩き出した。
しっかりと優しく繋がれた手に
もうドキドキは止まらない。
「ここも行きつけやねん」
「そ、そう、なんですか、」
自分達の間で繋がり
ぶら下がっている2つの手。
この状況は手を繋ぐ、と言うより
掴まれてる、と言った方が正解。
握り返すタイミングが掴めなかった。
そもそも、握り返して良いのかも分からず
握り返していいとしたなら
どれくらいの力加減をすれば…