第7章 どこまでも主役になれない。
渋谷さんの足が
近づいて来る。
距離的には
もう人1人分もない…
「会えたら終わりなんやな」
「………え…?」
顔を上げれば「やっと見れた、顔」だなんて柔らかく微笑む。
その表情に
またときめかされて…
この何日か渋谷さんに
ずっと胸が高鳴りっぱなし。
これじゃあ心臓が
いくつあっても足りない。
「………会うだけじゃあ満足せぇへんで、俺は」
「へ…?」
「会えたんなら話したなるやん」
「………………」
「会話したら、次は触りたくなるし」
「………………」
「触れたら、もっと一緒に居りたくなって、また会いたなんねん」