第7章 どこまでも主役になれない。
「車の中、いい匂いがするんで私臭くないかなぁ…と思いまして」
「え?いい匂い?するか?」
「すばるくんの匂いはしますよ」
「俺、加齢臭しか出してへんけど」
「まだ大丈夫ですよー、全然出てませんから」
目の前で交わされる会話も
耳には留まらず流れて行くだけ。
こんなんじゃ、ダメだ。
せっかく誘ってくれたのに
落ち込んでちゃあ失礼過ぎる…
「あ、もしかしてあれちゃいます?」
「あれ?」
「運命の相手って奴っ!」
気持ちがブルーになりつつある私の耳へ
丸山さんの嬉しそうな声が入って来る。
渋谷さんを見たら
は?みたいな顔してた。