第6章 用意された舞台。
そんな私を見て
ほらやっぱり照れてる、と
目尻に笑い皺を寄せていた。
「仲がよろしいですねぇ、お2人さん」
えくぼとほくろの彼が
お邪魔してごめんあそばせ、と
口に手を当て
横を通り過ぎてく。
取り残された私達は
無言で見つめ合い
どちらからともなく微笑んだ。
「行こか、」
それは突然、理由もなく
訪れるもので。
始まれば次は
2人でしていくものなんだと思う。
いつもは、そこまで到達しないまま終わり
諦める事ばかりを覚えて来た私に
ようやく用意された、恋という舞台。
「はい」
この舞台へ一緒に上がるのは
隣で優しく笑ってくれる
あなた、だと
期待しても良いでしょうか…?