過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第10章 眷属達の想い
「ジェリー・・・お客様に失礼な物言いはやめて下さい」
ジャックが呆れたようにジェリーと呼んだ男に言うと、
彼は肩を竦めてまた煙草を吸い始めた。
計三人がこの部屋にいたというのに、
ジャック以外の気配に全く気づけなかった事に
エルヴィン達は警戒心を抱く。
この三人は只者ではないだろう。
人間が人形に変わった時点で、エルヴィンはある仮説を立てていた。
――――この三人は恐らく、ナナシに関わりのある人物達だ、と。
以前、ナナシが話してくれた『家族』の事を思い出す。
恐らく『紳士』がジャック、『ゴロツキ』がジェリー、
『天然』がイサザだろうと、情報を元に当て嵌めた。
ナナシの『家族』が何故自分達の前に現れたかわからないが、
これは行方不明になっているナナシの情報を得るチャンスだ。
何としてもこの三人からナナシが今どこにいるのか聞かねばならない。
エルヴィンは無意識に拳を握り、
この場を仕切っていると思われるジャックに話し掛けた。
「君達は・・・ナナシの縁者だな?
ナナシの怪我の具合はどうなんだ?今どこにいる?」
エルヴィンの問いにジャックは目を丸くして
「これは驚いた」と微笑を浮かべる。