過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第2章 赤い世界に射し込む蒼色
「ナッちゃん!!??」
その声で目を覚ましたナナシは布団から勢い良く飛び起き、
荒い呼吸を繰り返しながら、現状把握の為周囲を見渡す。
そこは『異世』のナナシの実家で、
傍らには心配そうにしているツクモが控えていた。
「大丈夫か?ナッちゃん、かなり魘されてたで・・・」
ツクモの言葉で全てが夢だったのだと理解したが、
とても嫌な夢だったと額の汗を拭う。
全身に汗をかいているナナシの身体を甲斐甲斐しく
タオルで拭きながら、ツクモは色々と報告してくれた。
ナナシが狙撃されてから一ヶ月近く経っている事。
エルヴィンは無事で、彼にナナシの事は死んだものとして
扱い諦めるように言った事。
向こうの世界で使っていたナナシの義体は今修理中という事。
「一ヶ月っ!?」
「せや。核の部分に罅が入って、義体からナッちゃんを
引っ張り出すのも大変やったくらいや。本体のその身体が
疲労で眠ってしまうんは、仕方無いで」
それらを聞いてナナシは焦った。
一ヶ月も寝てしまっていたとは思わなかったからだ。