過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第9章 逢いたい
調査兵団に連れ戻されてから数日経ち、
ナナシの傷も大分癒えて歩くのに支障は無くなった。
まだ激しい運動は止めた方が良いだろうが、
傷口も塞がってきているのであと一週間もすれば
普通に運動も出来るようになるだろう。
「ナナシ、本当に傷大丈夫なの?あたしが診た方が良いって、絶対!」
ハンジはそう言いながら頬を膨らませた。
傷の手当てをするというハンジの厚意を辞退したナナシは
傷の手当てを自分で行っている。
心配半分、興味本位半分でハンジはナナシの治療をしたがったが、
決して無理矢理服を脱がそうとはしなかった。
ハンジ曰く、無理強いしないようにエルヴィンからきつく言われているらしい。
「無理強いした本人が言うなっての!本当にエルヴィンは
勝手なんだから・・・」
エルヴィンの所業にハンジ達はご立腹のようで、
時折ナナシにそんな愚痴を零した。
ナナシは何と返して良いのかわからず、
曖昧に濁すことしか出来ない。