過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第8章 何故、そんな事を?
「ハンジ、ナナシの治療は私がする。
君は彼の身体を見ないでやってくれ」
「・・・ねぇ、エルヴィン。貴方ナナシを抱いたの?」
震える声で尋ねるハンジにエルヴィンは顔色を変えること無く頷いた。
「あぁ、抱いた」
それを聞いた瞬間、ハンジはエルヴィンに飛び掛かり、
顔面に拳をお見舞いした。
「何で・・・っ!?ナナシは今死にそうになってんだよっ!?
あんたを庇って死にかけてんのに、何でそんな事が出来たんだっ!?
恩を仇で返したんだよっ!?」
「ハンジ!落ち着いてっ!」
興奮して暴れるハンジをリヴァイとナナバが抑えつけるが、
心情はハンジと同じだった。
ミケはハンジを止めること無く、出入口付近で静観したままで
同じく憤りを覚えているのだろう。
エルヴィンはハンジの拳を甘んじて受け入れたようで、
動じた様子は見られない。
もしかしたら、このメンバーに殴られる事を覚悟して
帰ってきたのかもしれないとリヴァイは思った。