過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第8章 何故、そんな事を?
「どうしたの?ミケ」
ナナバが不思議そうにそう尋ねたが、
ミケは目を見開き先を進むエルヴィンとナナシを見遣った。
「・・・・・・・・・・」
ミケに「まさか・・・」と嫌な予感が走る。
エルヴィンの傍に居たリヴァイとハンジを押し退け、
ミケはナナシの匂いを嗅いだ。
綺麗に洗い流されてはいるが、確実に性交の匂いがして
何があったのか悟ったミケは思わずエルヴィンの胸倉を掴んだ。
「エルヴィン、おまえという奴は・・・っ!!」
突然の行動にリヴァイ、ハンジ、ナナバは驚き、
ミケを止めようとしたが、彼がここまで怒る理由を知りたくなり
踏み止まる。
心配なのはむしろ大人しくエルヴィンに抱かれているナナシだ。
「ミケ・・・話は後にしてくれ」
エルヴィンはまるでミケの行動を予期していたかのように、
胸倉を掴まれても冷静だった。
ミケが怒りを必死に抑え、
「あぁ、まずはナナシをベッドに寝かせてからだ」と
乱暴にエルヴィンから手を離し、エルヴィンがナナシの部屋に
入っていくのを横目で見つつ、「くそっ!」と壁を殴りつけた。