過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第7章 何て自分は、さもしい存在なのだろう・・・
キィィ・・・と建て付けの悪いドアを開けると、
ベッドの上で苦しそうにしているナナシが目に入り、
エルヴィンは慌てて彼の下へ駆け寄った。
ほんの僅かな間目を離しただけなのに、
体調が悪くなったのだろうかと顔色を確かめると、
ナナシは酷く青褪め冷や汗を流していて、
エルヴィンは彼に呼び掛ける。
「ナナシ、聞こえるか!?どうすれば良い?
君の身体は未知の領域でどう対処すれば良いかわからない。
指示をくれ」
下手なことをして悪化しては大変だ。
指示を仰ぐとナナシが小声で「クスリ」と呟き、
破り捨てたままの衣服を指差したので、
エルヴィンは慌てて衣服の残骸を漁った。
薬が入っている思われるケース発見し、
ナナシに「これか?」と見せると頷かれたので蓋を開けると、
中にはカプセル状のものがいくつも入っていて、
一粒取り出し彼の口許に添える。
カリッとナナシがそれを口に含んだのを確認したエルヴィンは
コップに淹れた水を飲み、口移しで水を流し込んだ。
口移しで飲まされることに抵抗があったようだが、
背に腹は変えられなかったようでナナシは素直に全て飲み干し、
ホッと息を吐く。
薬を飲んだお蔭か、次第にナナシの呼吸も正常に戻ってきて
安堵していると、エルヴィンはナナシの身体の変化に気づく。