過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第7章 何て自分は、さもしい存在なのだろう・・・
『・・・そ・・・ソロモン・・・もっと、優しく抱いて・・・』
―――『ソロモン』と、ナナシは言った。
ソロモンとは『迅鬼狼』という組織の団長だ。
そして、その恋人は『副長』・・・・後の『代行』だったはずだ。
それなのにどうしてナナシはソロモン団長の名を呼んだのか・・・。
『代行』は死んだとナナシは言っていたが、
クレイグは生きていると言っていた・・・。
ナナシにも恋人がいたと聞いている・・・・。
恋人がいたにも関わらずソロモン団長に横恋慕していたのか、
ナナシの言葉に嘘があったか・・・・
だとしたら、どれが嘘なのか・・・・。
眠っているナナシの頬を撫でながら、
エルヴィンは口角を吊り上げた。
「あぁ・・・もしかして君が『代行』なのか?ナナシ」
クツクツと喉の奥で笑いながらエルヴィンはナナシの唇に
キスを落とす。
「もう絶対に逃さないよ、俺のナナシ。君が人であろうと無かろうと、
誰の恋人であったかも関係無い。今は俺のものだ」
舌を差し入れ、クチュクチュと口内を掻き回し卑猥な音を立てる。
「・・・・・ん・・・んん・・・」
意識を失っているのにナナシから甘い声が漏れ、
エルヴィンは満足気に唇を離した。
「着替えを用意してくるから、大人しく待っていなさい」
額にもキスを落とし、エルヴィンは部屋から出て行った。