過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第4章 再び地下街へ
「じゃあ、ナナシってのは何者だ?あいつは人間じゃねぇと
本人から俺は聞いた。俺が知りたいのはあいつの過去だ。
おまえなら何か知ってんだろ?」
そう聞いた瞬間、クレイグは持っていた仕込み杖の刃を抜き
リヴァイに斬り掛かってきた。
攻撃されると読んでいたリヴァイは超硬質ブレードで
仕込み刃を受け止めたが、老人とは思えない踏み込みに
身体を後方に弾かれ、外に叩き出される形となった。
扉ごと外に弾き出されたリヴァイは瞬時に体勢を立て直し、
店内から悠然と出てくるクレイグを睨みつける。
「成程・・・昔よりも腕が上がっておるな。
これもあの方のご指導の賜物か・・・。しかし、
鍛え方がまだまだ不完全のようじゃな」
「チッ!てめぇもナナシと同類かっ!?」
「恐れ多くもあの方と一緒にするでない。
儂もおまえさんと一緒であの方に鍛えられただけじゃ」
「マジかよ・・・っ」
リヴァイが超硬質ブレードを構え直すと、
クレイグの動きがピタリと止まり、彼ははぁぁぁ~と
大きく溜息を吐いた。
「若い頃なら何とかなったかもしれんが、
今の儂ではおまえさんには勝てん。早々に降参させて貰うぞ」
そう言うとクレイグは踵を返し店内に入っていってしまった。
突然退かれ、リヴァイは呆然としたが、
すぐに掛けられた言葉で何故彼があっさり退いたか納得する。
「連れの二人にも茶くらい出してやるから、さっさと来い」