過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第4章 再び地下街へ
物陰に潜んで様子を窺っていたエルヴィンとミケの存在に気づいたクレイグに、
リヴァイは「やっぱこいつはナナシと同類だな」と思った。
バレてしまっては仕方無いという風に出てきた二人と共に
店に入ると、クレイグは本当にお茶を出してきたので
その豪胆ぷりに驚愕する。
恐らくエルヴィン達の気配を察知したと同時に、
二人の力量も把握したのだろう。
あっさり勝ち目がないと判断したのに、
クレイグは敵を懐に入れた挙句、警戒を解いてしまった。
己に勝ち目があるからこそ生まれるはずの余裕をクレイグに感じ、
リヴァイは怪訝に思ったが、今日開口一番に言われた言葉を思い出し
ハッとする。
―――そろそろお迎えがくる
もしかしたらクレイグの命はそう長くないのかもしれない。
リヴァイにした攻撃も、もしかしたら最期の一撃だったのではないか?
もう戦う力も無く余命が短ければ、
手練れ三人を前にしても達観した気持ちで接することが
出来るのかもしれない。