過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第4章 再び地下街へ
「どんなに強かろうが死ぬ時は死ぬ。
逆に弱くても生き残る奴は生き残る。
おまえさんの欠点は完璧であろうとするところじゃろうて」
難儀じゃな、と言われ、リヴァイは掌を強く握りしめる。
仲間が死んでも自分を責めるなと言われているようで、
目頭が熱くなった。
だが、ここに来たのは昔話をする為ではない。
リヴァイは一歩前に進み、クレイグに本題を切り出した。
「クレイグ・・・おまえに聞きたいことがあってここに来た。
ナナシの事について教えてもらいたい」
ナナシの名を聞くと、それまで穏やかな雰囲気だったクレイグが
ピリピリとした空気を纏い、探るような目でリヴァイを見つめた。
「・・・・・・・昔、あの御仁はおまえさん達と
仕事をしていなさったな。何故今更そんな事を聞く?」
「ナナシは今調査兵団で教官をしている。
俺もあいつに色々教わっている最中だ。・・・だが一ヶ月前
凶弾に倒れ、行方知れずになっちまった。
おまえならどこにあいつの実家があるかとか
知っているんじゃないかと思ったんだが・・・」
「残念じゃが知らんよ。儂も連絡を取りたくても取れんのだ」
「・・・・・そうか・・・・」
クレイグの態度からしてそれは本当の事なのだろう。
だがクレイグに聞きたいことはまだ山のようにある。
エルヴィンが自分達にも隠しているナナシの過去についてだ。
クレイグが簡単に口を割るとも思えないが、一応尋ねてみる。