過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第35章 最期の夜明け
「待って!行かないでくれ・・・。私が死ぬまで、ここにいてほしい。
・・・残酷な事を頼んでいるのはわかっている。だが、
お願いだから夢心地のまま逝かせてほしい」
「あぁ、わかった。勿論だ。君が眠るまで傍から離れないから
安心していなさい」
「ありがとう・・・エルヴィン」
「お礼を言うのは此方だよ、ナナシ」
何故?と不思議そうに見つめてくるナナシにエルヴィンは
出来る限りの笑顔を作った。
「君が最期に一緒にいるのが俺で良かった・・・。
一人で逝かせるのも嫌だし、他の男と一緒だったら、
俺はその男を殺していたかもしれないからね」
「相変わらず嫉妬深い男だな・・・」
ナナシはクスリと微笑うと少し何かを考えるように俯き、
暫くすると顔を上げて言った。
「エルヴィン・・・『心臓』は、お主があのままどこかに
保管しておいてくれ」
「それは構わないが・・・」
「そうすれば、きっとまた会える・・・いつになるか、
わからないけれど・・・絶対私は『心臓』を取りに来るから」
ナナシの言葉が理解出来ず、エルヴィンは説明を求めた。