過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第4章 再び地下街へ
店内に入ると昔と変わらない光景が目に入る。
カモフラージュの為に置かれている品物、
奥のカウンターの椅子に腰掛けている老人は
あの時と変わらず新聞を読んでいる。
「クレイグ・・・・」
生きていたか・・・とリヴァイはホッとした。
利害で繋がっている関係でも、顔見知りが死んでいたとなると
心が沈むのだ。
「ほっほっほ、そろそろお迎えが来ると思っておったが、
まさか死神が見知った顔をしているとは思わなかったぞ」
クレイグは新聞をカウンターに置き、
リヴァイを真っ直ぐ見据えた。
「久し振りじゃな、リヴァイ。風の噂で調査兵団に
入ったと聞いておったが、本当だったようじゃな。
今では人類最強か・・・」
「・・・・仲間も救えないような奴が『人類最強』だなんて
笑える話だがな」
クレイグの事だ。
ファーランとイザベルが死んだ事も知っているだろう。
しかし、彼はその事について特に言及する事無く、
力無く笑った。