過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第33章 ナナシの想い
「もう・・・身体がそんなに保たぬのだ。先に逝ってしまうのに、
お主との繋がりを・・・深くしたくない」
「・・・・っ!」
ナナシは残していくエルヴィンを想っていた。
それが今の言葉によく表れていてエルヴィンは奥歯を噛み締める。
「・・・わかった。高望みはしないよ。
君が提示してくれた一回で俺は満足出来る。ありがとう、ナナシ」
ナナシが綺麗に微笑ったので、エルヴィンも心の中の悲しみを
悟らせないように笑い返した。
「さて・・・君の気が変わらない内に今すぐ抱いても良いかな?」
「え?だが、仕事が・・・」
「問題ないよ」
エルヴィンはそう言うとナナシから離れ机に向かい、
紙に何かを書き始めた。
何かを書き終えると、その足で廊下に向かい執務室の扉に
その紙を貼り付けた後、きちんと鍵を掛けて戻ってきた。
「さぁ、これで何の問題もない。明日の朝まで私達を邪魔する者は
存在しないよ。仮眠室で申し訳ないが行こうか、ナナシ」