過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第33章 ナナシの想い
「・・・一回だけ。・・・一回だけで良いなら、お主に
・・・抱かれる」
「・・・・え・・・・?」
一瞬、何を言われたかわからず、思わず聞き返すと、
ナナシはエルヴィンの目を真っ直ぐ見つめてもう一度言った。
「一回だけで良いなら、お主に抱かれても良い・・・。
それで、満足して・・・いや、私の身体では満足も出来ないだろうが、
少しでもそれで納得して貰いたい」
「・・・・・・・・・」
エルヴィンはナナシの言葉一つ一つを咀嚼して、脳内に変換する。
・・・・今、ナナシは何と言った?
一回で良ければ抱かれても良い・・・・?
ナナシを凝視していると、彼は顔を真っ赤にして震えていた。
その反応からナナシが嫌々ではなく、本心から抱かれても良いと
思っているものの、誘ったは良いがエルヴィンの反応が薄いので
自分の行動に恥ずかしくなってしまっている感じが
駄々漏れてきた。
「い、嫌なら・・・無理にとは・・・・」
「嫌じゃないっ!!一回だけでは物足りないくらいだっ!!!」
ナナシが身を引こうとしてしまいそうになったので、
エルヴィンは慌てて叫んだ。
だが、ナナシは少し困ったような表情をして、
念を押すように「一回だけだ」と言う。
エルヴィンが「何故一回に拘るのだろうか?」と首を傾げていると、
ナナシから弱々しい声が上がる。