過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第33章 ナナシの想い
「・・・嫌いじゃない。でも、これ以上はダメだ。
私とお主とでは色々と違い過ぎて・・・・そういう事は
すべきではない」
「君が人でなくても俺は構わない。だから・・・っ!」
「私が・・・構う。・・・色々と。すまぬ、中途半端な事をして、
お主を期待させてしまって・・・。もうこれからは
こんな事しないように・・・」
「待ってくれっ!!」
声を荒らげたエルヴィンにナナシはビクリと身体を強張らせる。
エルヴィンはナナシの仕草一つ見逃さないように覗きこむように
顔を寄せた。
「君はいつもそうやって自己完結してしまうが、
それでは俺は納得出来ない。人ではないという理由だけで
俺を拒むのか?」
ナナシは目を泳がせたかと思うと、きゅっと口を引き結ぶ。
その仕草でエルヴィンには隠したい何かが存在するのだと知れた。
「その理由だけではない・・・という事か」
「・・・・・・・・」
こうなってはナナシは頑として口を割らないだろう。
これではいつもと同じだ、とエルヴィンは落胆しかけたが、次に発せられたナナシの言葉によってそれが覆された。