過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第4章 再び地下街へ
立体機動装置を装備し、軍服のまま地下街を闊歩すれば
百戦錬磨の調査兵団に絡んでくるゴロツキは存在しない。
地上では税金泥棒などと誹られているが、
地下街では単純な戦闘力も重要視されるので
無謀な喧嘩を売る馬鹿はこの場所では生きてけないのだ。
リヴァイは懐かしい店の前に立ち、暫し感慨に耽った。
ゴロツキ時代、この店に来ていた頃は傍らに
ファーランとイザベルの姿があった。
ファーランはいつもここの店主と言い合いになっていたが、
イザベルは仕事の話よりも店に置いてあるお菓子を
物欲しそうに眺めていたのを今でも覚えている。
そんなイザベルに気まぐれで菓子を与えてやると
花が咲いたように笑い、ファーランは呆れたように・・・
それでも温かい目でイザベルを見つめていた。
店主も店主で「仕方がないのぅ」と言い、
場合によってはファーランの話を
聞き入れてくれたりしていたのだから、
悪い奴では無かったと思う。
夢を語っていたあの頃はリヴァイにとって
かけがえのない日々だった。
リヴァイは一度目を閉じ、深呼吸してからあの頃と同じように
その扉を開けた。