過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第31章 夢の残骸
「ブラウヒッチュ卿、我々はそろそろお暇させて頂きます」
「君達兵士に用は無いから、さっさと帰り給え」
「『ナナシ』もです。ナナシは貴方の実験に協力などしない」
「君には聞いていないのだがね、スミス団長。副長を置いていきなさい。
君のような者が傍にいて良い人じゃないんだよ、その方は。
身の程を・・・」
「身の程を弁えるのは貴方です、ブラウヒッチュ卿。
そして、ナナシにソロモン団長の心臓を返却すべきかと思いますが・・・?」
「・・・貴族に向かって随分と口が過ぎるな、若造が」
「主を裏切った者に過ぎた口など無い」
敬語をやめ挑発したエルヴィンの言葉と共に、
リヴァイは刃を抜いた。
元々交渉など出来るとは思っていなかったが、
想像以上の下衆で逆に良かったのかもしれない。
何の躊躇もなく殺れる。
心配なのはナナシの様子だったが、エルヴィン達の会話を聞いていて
動揺が収まったらしく、毅然とした態度でカールと向き直った。