過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第31章 夢の残骸
「このソロモン団長の細胞も大分減ってしまいました。
副長が協力さえして下されば、巨人を絶滅させるほどの
軍隊が作れると思うのですが・・・」
ホルマリン漬けにされた『心臓』の容器を撫でながら、
カールは笑った。
ドクドクと脈打つ心臓は所々欠けており、言葉から察するに
カールがソロモンの心臓を削り、改造人間を作っていた事が窺え、
ナナシは悲鳴を上げそうになる。
探し続けていたソロモンの心臓が傷つけられ、
悪用されていたなんて・・・っ!!
過呼吸になりかけていたナナシの肩にエルヴィンとリヴァイの手が
そっと置かれ、「落ち着け」と優しい声色で諭される。
二人を振り返れば、二人共嫌悪に満ちた表情でカールを見据えていた。
「話に割り込んで申し訳ありませんが、そんな脆弱な軍隊で
巨人を絶滅させることは不可能です。
戦闘後すぐ兵士が死んでしまうようでは話になりません」