過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第31章 夢の残骸
「端的に申せば私の細胞を埋め込みました。
特に貴方に施された改造手術部分の細胞を培養し
モルモットに与えると劇的な変化が現れました。
廃人同様に感情が無くなってしまったのは誤算でしたが、
駒に人間らしい感情など要りません。要は命令さえ聞けば良いのです」
吐き気がする程の非人道的行為にナナシは奥歯を噛み締めた。
「・・・ただ、この私兵達にも欠点があるのです」
ナナシの様子に気づかないカールは「困った」というように息を吐いて、
その欠点を語る。
「寿命が・・・短いのですよ。戦闘を開始するとすぐ細胞が死滅し、
肉体が崩れてしまうのです。どうすれば、もっと長時間
活動出来るようになるでしょうか?」
純粋に小首を傾げて問うてくるかつての部下に、
ナナシは殺意しか湧かなかった。
人間をまるで物のように扱うカールが許せなかった。
カールは私兵に命じて何かを持ってこさせると、
自慢気にナナシにそれを見せつけた。
それを見た瞬間、ナナシは目を大きく見開き驚愕する。
―――この気配は・・・っ!!