過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第31章 夢の残骸
「『迅鬼狼』程の身体能力はありませんが、
それでもそこにいる人類最強よりは強い私兵の量産に成功しています」
ニヤリと嗤うカールにナナシの背筋に嫌な汗が流れる。
「一体どうやって・・・・」
身体能力を上げる改造手術が出来るのはナナシのみだ。
それもソロモンの細胞とナナシの細胞が無ければ成功しない。
それなのにどうやってそんな超人を作り上げたというのか・・・。
チラリとエルヴィンを見遣ると、表情は変えていなかったが
その眼は興味津々だと訴えていた。
「七十年以上研究を費やし、辿り着いた最高傑作をご紹介致しましょう」
そう言うとカールは手元にあったベルを鳴らし、
数十人の私兵を呼び寄せた。
取り囲まれた形になったナナシ達だったが、
呼び出された私兵の様子に眉を寄せる。
改造された私兵達は兵士並みに筋肉が付いていたが、
その表情には感情らしきものはなく人形のように目の焦点が合っていない。
カールは自慢気に改造私兵の説明を始めた。