過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第31章 夢の残骸
「貴方に力を与えられた者は『選ばれし者』なのです!
巨人にも屈する事無く戦う事ができる新人類とも言うべき存在なのです!
もう一度貴方が力を与えて下されば人類は・・・っ!」
「随分と都合が良い話だな。『迅鬼狼』を裏切り、
ソロモンを処刑台へと送ったお主を私が許すとでも?
それに『選ばれし者』?『新人類』?馬鹿げた話を続けるものだから
呆れ返ったわ。歳を取っても愚かな考えは改まってないと見える」
「・・・そ、それは・・・・」
僅かにカールの顔に動揺が走る。
裏切った事がバレているとは思わなかったらしい。
「七十年前も言ったが、私はお主と共に組織とやらを作る気も無ければ、
力を貸す気もない。残り少ない余生を安穏と過ごしたければ
もう口を閉ざし、二度と私に関わるな。不愉快だ」
蔑みを含んだ目で見遣れば、カールは眉根を寄せて叫んだ。