過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第31章 夢の残骸
「身を隠された貴方にもう一度お会いしたくて八方手を尽くして探しましたが、
なかなか見つけ出すことも出来ず、この歳になってしまいました。
ですが、風の噂で貴方が調査兵団で教官をしている事を知り
お手紙を認めた次第です。・・・もう一度私とどこの兵団にも
負けない軍を組織し、七十年前我らを迫害した王政を打破し、
掌を返した民衆に思い知らせてやりましょう!
我らが人類最後の砦であり要なのだと・・・っ!」
妄執に駆られたカールは何十年経っても変わらなかった。
ナナシはそんなカールを哀れに思いつつ、苦笑を浮かべながら苦言を呈す。
「おいおいそんな事言って良いのか?ここには王政に
心臓を捧げている調査兵団の団長と兵士長がいるのだぞ?」
「問題はありません。所詮、我らと違い進化も出来ず
巨人の餌になるしか能のない人間達ですから・・・」
殺すことは容易いというカールにナナシは憤りを覚える。
背後にいるエルヴィン達がどんな顔をしているかわからないが、
きっと内心腹立たしく思っているだろう。