過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第31章 夢の残骸
「カールがどのような考えであれ、これでは戦闘は避けられそうにないな・・・」
「同感だ。ナナシ、君に確認しておきたい事がある。
万が一、戦闘になった場合・・・」
「最悪皆殺しだ」
さらりと恐ろしい事を口にしたナナシに三人は息を呑んだ。
その眼はいつものナナシではなく、組織を束ねるものの
決意と覚悟に満ちた光を宿しており、思わず見惚れる程
迫力のあるものだった。
「お主達三人は、生き残る事だけを考えろ。
調査兵団の精鋭をこんな下らない私事で失う訳にはいかない」
「だが、おまえに殺せるのか?」
裏切ったとはいえ、かつての仲間を・・・・
愚問だとわかりつつも尋ねたリヴァイに、
ナナシは微苦笑を浮かべた。
「仲間だったからこそ、殺すのだ。道を踏み外したのなら、
それに引導を渡してやるわ」
コンラッドの時とは訳が違う。
コンラッドは死ぬまで後悔し続けただろうが、カールは違う。
後悔どころか未だ何かに囚われ続けているに違いない。