過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第30章 続・不運な男
「今日は私のナナシが無事だった事をおまえに報告しに来ただけなんだ。
・・・という訳で、もうお暇するよ」
さっさと帰ろうとするエルヴィンの首根っこを捕まえたのはナナシで、
ナイルにちゃんと謝るように言った。
するとエルヴィンはいつもの偉そうな態度で
「迷惑をかけてすまなかったな、ナイル」と言ったので、
謝り方がなってないとナナシは彼の頭を掴んで
テーブルの上に叩きつけるように頭を下げさせた。
「謝り方がなってなくてすみません、ドークさん。
エルヴィン達がドークさんに酷い事をしたそうで、
本当にすみませんでした」
ニッコリ笑いながらエルヴィンの頭を押さえつけるナナシに、
ナイルは恐怖を覚えながらもげそうな程勢い良く首を横に振る。
「い、いや!気にしてないから!こいつのこういう態度は
いつもの事だから気にしてない!だから、その手を退けてやって・・・・」
ゴリゴリとテーブルに額を擦り付けられているエルヴィンの機嫌が
悪くなっているのを察し、ナイルは青褪めた。
ナナリーの気持ちは有り難いが、これでは逆効果だ。
今度エルヴィンと会った時、どんな嫌がらせをされるかわかったものではない。